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ゲームっていったいなんだろう?
とあるゲームの大会の賞金が何億円だとか、そういうニュースを見かけることは少なくありませんが、こちらの記事
で述べたように、「ゲーム」は「サッカー」と同じように、「競技的なもの」として、社会に受け入れられているイメージがありません。
それどころか、「ゲームを一生懸命やっている」というと、なんとなく馬鹿にされるような風潮すら感じます。
この「サッカー」と「ゲーム」の違いは何なのか、以下の4つの観点から考えてみます。
ゲームとサッカーの違いを考える
「1. どんなキーワードが検索されてるの?」
「2. 市場規模はどのくらい?」
「3. 漫画・アニメ・ドラマ・映画はあるの?」
「4. 関連する職業は何?」
1. どんなキーワードが検索されてるの?
「サッカー」・「サッカー選手」・「ゲーム」・「eスポーツ」・「プロゲーマー」で検索し、関連して出てきた上位5つのキーワードを下に並べています。
「サッカー」と「サッカー選手」の関連ワードには、サッカー選手の具体的な人名が多いです。10個の関連ワードの内、7個がサッカー選手の名前です。
「ゲーム」の関連ワードには「フォートナイト」・「ポケモンユナイト」・「にゃんこ大戦争」と、ゲームの具体名が並びます。「ゲーム」が「サッカー」より抽象的な概念であるような印象を受けます。
「eスポーツ」と「プロゲーマー」の関連ワードには、その定義を尋ねるキーワードが多いです。「eスポーツとは何か」、「プロゲーマーはだれか」といった具合です。
これらは競技的な意味を持つワードです。ゲームが競技的なものかどうか、はっきり定まっていないことが言えそうです。
2. 市場規模はどのくらい?
「ゲーム」と「スポーツ」は、市場の形態、つまり何が金になっているかが、両者で大きく異なります。
「スポーツ」は、「スポーツを使った」あるいは「スポーツに使う物の」市場が主で、 「スポーツ」市場はありません。
これは極論を言えば、「スポーツをすること」自体には一切カネがかからないことになります。
一方で「ゲーム」は、「ゲーム」市場がメインで、「ゲームを使った」あるいは「ゲームに使う物の」市場はほとんどありません (発展していないという言い方が正しいかもしれません)。
見方を変えれば、Nintendo Switchを買う事と、サッカーボールを買う事が同じで、「ゲームについて考える事自体はタダ」と言えなくもないですが (かなり無理があるか)、
サッカー単独の「Jリーグ」市場が、複数の種目を含んだ「eスポーツ」市場を大きく上回っていることからみても、
ゲームには「そのものに大きな市場価値があるものの、そこから関連した市場が成長しにくい」特徴を持つように思えます。
3. 漫画・アニメ・ドラマ・映画はあるの?
イラスト | 「サッカー」 | 「eスポーツ」 |
Pixiv | 18294 | 97 |
漫画 | 「サッカー」 | 「eスポーツ」 |
Abemaマンガ | 128 | 0 ※1 |
548 | 34 | |
BookLive | 318 | 18 |
DMMブックス ![]() |
496 | 21 |
ebook japan | 570 | 0 ※1 |
Reader Store | 417 | 21 |
430 | 0 ※1 | |
まんが王国 ![]() |
459 | 15 |
映像作品 | 「サッカー」 | 「eスポーツ」 |
Amazon Prime Video | 2000以上 | 410 ※2 |
dアニメストア | 31 | 0 |
BANDAI CHANNEL | 19 | 1 |
※1・・・「eスポーツ」ではヒットしない。作品名で検索するとヒットする。
※2・・・ほとんどが「eスポーツ」と関係のないコンテンツ。なぜか「ロバート秋山の市民プール万歳」がヒットする。本当になぜ。
「サッカー」と比較して、「eスポーツ」がテーマのイラスト・漫画・映像作品は明確に少ないです。
「サッカーを頑張る漫画」の正しい比較対象は「フォートナイトを頑張る漫画」ですが、残念ながらそのような漫画もありません。派生的な市場が発達しにくい特徴が、ここでも見られます。
一番の原因は、「ゲームはプレイするのに考案者の許可が必要」という点でしょう。「市場規模」の項で触れた、「プレイするのに金が必要か」です。
フォートナイトをプレイするためにはEpic Gamesの許可が必要ですよね。初めてフォートナイトをプレイする時は、何か小難しいことが書いてある文章に同意することを求められるはずです。
プレイするために許可が必要ということは、プレイしている様子を描くのも許可が必要です。「フォートナイトを頑張る漫画」が存在しないのはそのためです。
一方で、そもそも「ゲーム」自体がイラスト・漫画・映像作品的なコンテンツであるという見方もできます。「フォートナイト」は漫画やアニメであるとの捉え方です。
一気に消費的な側面が強調されますが、現状はこの見方が主流であるように思えます。
Prime Videoでは、「コンピュータゲーム」で検索すると、バイオハザードシリーズの映画がヒットします。また、Pixivで「ポケモン」と検索すると950,000以上もの作品があります。「ゲームが消費的なものである」ことの一例です。
4. 関連する職業は何?
サッカー | ゲーム |
サッカー選手 | プロゲーマー |
サッカー審判員 | ゲームプランナー |
アスレティックトレーナー | ゲームクリエイター |
スポーツインストラクター | ゲームプロデューサー |
スポーツ用品販売員 | ゲームプログラマー |
ゲームデザイナー | |
ゲーム音楽作曲家 |
給料バンクに記載の職業
両方ともまだあると思いますが、ゲームに関する職業は特にもっと多いと思います。
ゲームを作る会社の事務職・営業職もそうですし、Nintendo Switchを売っているヤ〇ダ電機やBooK〇FFの店員もそうです。
ゲームに関連する職業の方が多いのは、純粋に「ゲーム」の方が動くお金が大きいからと言えそうです。「スポーツ」ではなく「サッカー」と比較しているからというのもあります。
ただ「ゲーム」を「フォートナイト」にすると、関連する職業はグンと減りそうです。
やはりゲームの「消費的」な一面が垣間見えます。
フォートナイトはサッカーになれるか
ゲームに「消費的」な特徴が見られることがわかりました。
これが社会のゲームに対する認識にも影響し、「ゲームは頑張るような対象とは思っていない」という意識が広まっていると言えそうです。サッカーとの大きな違いです。
「競技的」な意味を持つ「eスポ―ツ」の市場は年々増加傾向にあるものの、まだまだ「Jリーグ」市場の足元にすら及ぼない程度です。
現在のゲームの市場形態が続く限り、フォートナイトがサッカーになれる日が来ることは、とても難しいことのように思えます。